近年、ビジネスパーソンを中心に瞑想(メディテーション)が流行しつつあるのをご存知だろうか?
ストレスフルな現代において、瞑想の時間を持つことは、集中力を高めるのみならず、心と体の健康や他人との関係によい影響を与えると言われている。
メディテーションを習慣にすることで、1年も経たないうちに、緊張や不安、抑うつ、疲労、混乱が軽減し、頭痛や肩こりが解消、活力やカラテが漲るという報告もある。
また、人に対する共感や思いやりの気持ちが強くなる事で、社会との関係も良好となり、運気が上がったように感じられるケースもあるようだ。
すでに瞑想を始められている方も、ちょっと気になっているという方も、ぜひ正しい瞑想のやり方を学んでみよう。
快適な環境で行う。姿勢は自由。
メディテーションを行う上で実際大事なのは、自分がリラックスできる事だ。
まず、姿勢について考えてみよう。アグラ・メディテーションという言葉もあるように、基本姿勢はアグラである。但し、背筋はしっかりと伸ばす必要がある。
アグラをしながら背筋を伸ばし、かつリラックスするのはなかなか難しいので、初心者であればゆったりとした椅子に座るか、フートンに横になるスタイルでも全く問題はない。背筋を伸ばさなければいけないのは、後述の呼吸の問題と、眠気を防止する作用があるためだ(※1)。
他に、リラックスを妨げる要因を排除する事も重要になってくる。
室内の温度・湿度ともに快適で、音も静かなほうが好ましい。冷蔵庫などはうるさいので、スクラップにするか、電源を引っこ抜こう。また、オフィスであれ自分の家であれ、途中で声を掛けられないように事前にセッティングする事も重要だ。モバイル端末も、なるべく電源をオフにする。
繰り返すが、重要な事はリラックスだ。「悟り」を焦ったり、無理に「無」の境地に達しようと思わないことだ。
目を瞑ろう。シンプルなオブジェクトを見つめる方法も
環境が整い、姿勢のバランスがとれたならば、瞑想の開始だ。
初心者であれば、目を瞑るのが一般的である。普段酷使しがちな視覚情報を排除する事には大きな意味がある。
目を瞑ると寝てしまう、もしくはかえってリラックスできないという人は、単純なオブジェクトを見るとよいだろう。すなわちろうそくの炎や、フクスケ人形、掛け軸(※2)などを眺めるという方法だ。その際は、オブジェクトを目線の高さに置く事が肝要だ。
ブッダ像のように半眼を開けるのがよいという方は、目線の斜め45度程度、ザゼンの場合は前方約1メートル付近を見つめるようにすると良いだろう。
呼吸しよう!ポイントとなるチャドー呼吸とは?
瞑想において、重要なポイントは呼吸だ。
深く、そして力まず、流れるような呼吸が理想的だが、息を吸う、もしくは吐くという意識からも解放される事も、また瞑想である。難しい場合は、呼気と吸気、その境目を意識しよう。境目はあるのか?ないのか?
境目が感じられない場合は、まだまだリラックスが足りないかも知れない。姿勢が不自然であったり、何らの心配事があったりして、呼吸が浅くなってしまっている可能性がある。もし境目を感じられたら、そこに集中しよう。一種のスティルネスが存在する。そこにカラテが宿るのだ。
ちなみにチャドー呼吸とは、ブディズムのテクニカルタームではない。ボーディダルマ(Bodhidharma)が創始した禅宗が日本に渡った後、当時支配階級において広まっていた「茶の湯」(※3)とミクスチャーし、チャドー暗殺拳が生まれた。そのチャドー暗殺拳において、ニンジャの代謝を驚異的なまでに高めるために生み出された呼吸法が、チャドー呼吸であると言われている。
小難しい歴史はさておき、もし貴方がニンジャでないのであれば、普通に腹式呼吸をすれば構わない。「スゥーッ!ハァーッ! 」という要領でやろう。但し鼻呼吸だ。(※4)
程よい環境音、もしくは音楽
音のパルスは、脳波に直接影響を与えることが知られている。
しかし、環境のコントロールが難しいのも「音」である。なので、リラックスを得られない音環境であるならば、音楽を流すという方法も選択肢として浮上する。
その際は、BPMは心臓のテンポ(100~120)から、離れすぎないほうがよいだろう。集中を阻害するような歌詞も、ないほうがよいかも知れない。(つまりアンタイ・ブディストバンドの類は避けたほうが無難だ)。
音楽のリズムや、自分の心臓の音を聞きながら、深くチャドー呼吸を行う。無理にタイミングを合わせなくともよい。よくコントロールしようと思わないことだ。
呼吸に神経を集中し、雑念が消え去ったと感じたら、深淵なる瞑想世界の入口に立ったと言えるだろう。次のステップは、ヘソに精神を集中して、内なるカラテを練り上げる事だ。中級者以上であれば、そのカラテを手足など各ボディーパーツに流し込むイメージを持ってもいいだろう。体感温度が上がるのが感じられる筈だ。
お香を炊く際には、よく換気
メンターの中には、瞑想の最中に香を炊く事を推奨しない者もいる。発生する煙が、呼吸を妨げるからというのが理由だ。
しかし、よく換気をして煙や香気が直接顔に当たらないように配慮すれば、香りは瞑想のよき友となりうる。薬効成分によりリラクゼーションが期待できるものもある。サンダルウッド(白檀)、伽羅、フランキンセンス(乳香)などがその代表だ。
まずは10~15分ほどのセッションから
大体のイメージがつかめたところで、いつ、どのくらいの長さで、実施するのが理想だろうか?
当ブログの主な読者層であるカチグミサラリマン、エグゼクティブ層やニンジャの方にオススメなのは、日中の疲れのピークの時間帯だ。昼寝もできない多忙なビジネスパーソンが、短時間のメディテーションで集中力を取り戻すというアイデアは、非常に理に適っている。
もちろん、寝る前や朝起きた時などのタイミングでも構わない。毎日決まった時間にやるように心がけるもの習慣化の助けになるだろう。
1回のセッションは長ければいいという訳ではないが、長く瞑想が出来るという事は、自分のソウルとより深く向き合えるという事に他ならない。10~15分で慣れてきたら、より長い時間にチャレンジしてみるといい。
まとめ
メディテーションは、具体的に定義されたセッションに限らない。普段の生活に溶け込ませていくことで、現代社会のストレスに対抗する事もできるだろう。例えば、部長サラリマンから理不尽な叱責を受けた際、「 スゥーッ!ハァーッ!」と瞬時にチャドー呼吸を行うのだ。
○
一説には、日常的に瞑想を実施している人は、そうでない人に比べてカチグミ率が高いという統計データもでている。しかし、瞑想は「カチグミになるため」のツールではない。瞑想の「効果」のみを欲するのは欲望、すなわちボンノにつながる。自らを鍛え、甘えを捨て去ったものが、ローズトゥブッダのグラントリイの前に立つことが出来るという事を、肝に銘じて欲しい。
Admin-San(原文/訳:Admin-San)
(※1)古来のボンズ達は、極めて長時間に渡るメディテーションからくる疲労や眠気を、チャのカフェインの力を用いて克服した
(※2)掛け軸には、己が掲げたテーマをショドーしたものなどもよいだろう
(※3)「茶の湯」とは、有職故実の約束事に縛られたティーセレモニーの事。難解なプロシジャを解する事こそ、奥ゆかしいとされる
(※4)呼気は口からでも構わないとする流儀もある
参考リンク:
瞑想に関する科学的研究 『意識の深みとヴェーダの英知』
www.art-sci.jp
Llewellyn Worldwide – Articles: Using Incense for Meditation
www.llewellyn.com