あの「騒音おばさん」が映画化!就職氷河期世代に刺さるレジェンドを振り返る

騒音おばさんと聞くと、懐かしい気持ちになる諸賢は、あの騒音おばさんが「ミセス・ノイズィ」として映画化されるのをご存知だろうか?

オリジナル脚本を手がけた天野千尋監督は、「『騒音おばさん』がモチーフの映画。物事は、見る角度によって見える景色が違う。人も別の角度から見ると悪人にも善人にもなる、そういうことを盛り込んだ映画にしたかった」

ささいなすれ違いから生まれた隣人同士の対立が、マスコミやネット社会を巻き込んで、やがて2人の女の運命を狂わせる大事件へ発展していくという物語。「SNS炎上」や「メディアリンチ」など、現代の社会事情も絡みつつ、子供のケンカから、国や民族の紛争や戦争まで、あらゆる「争い」についての普遍的真理をテーマにした

  出典:eiga.com

ポスターのクリエイティブも、「初代騒音おばさん」のイメージが強烈に喚起される内容となっている。

初代と断ったのは、新・騒音おばさんの存在も、いま改めて注目されるべきと考えるからだ。

初代・騒音おばさん

「奈良騒音傷害事件」「引っ越し!さっさと引っ越し!」「しばくぞ」

まずは、いわゆる騒音おばさん(レジェンド)についておさらいしておこう。

  1. 奈良県のとある主婦が、「大音量で音楽を流す」「布団叩きで布団をリズミカルに叩きながら大声でさけぶ」などといった行為でご近所迷惑をはたらいた
  2. (1)の様子が、テレビ・マスコミで流されたことをきっかけに、ネットや各メディアで大ブレイクを果たした(2005年頃)
  3. 刑事裁判に発展、最高裁で騒音おばさんが敗訴、実刑判決が確定した(2007年)

テレビ、マスコミで報道された映像をもとに、数々の派生動画が作成・公開され、youtube(※)で初めてみた動画が「騒音おばさん」だった…という方もいるくらいの社会的インパクトを残した。

多くのサラリマンが騒音と超音波で頭の内側をシェイクされ、ハイになったので、記憶に新しい方もいるのではないだろうか。

ちなみに、多くの映像は被害者夫婦が撮影した動画である。

「騒音おばさんの真実」「被害者はどちら?」「創価学会」

今見ても、とてもインパクトのある映像である。

近隣住民にしてみたら迷惑極まりない存在であるが、大きな注目を浴びてしまった事件がゆえ、様々な憶測や都市伝説が飛び交うことにもつながった。

この騒音おばさんは本当は被害者であり、撮影をしている被害者夫婦が実は加害者で、創価学会員だったという説もその一つだ。

「騒音おばさんの今」「MIYOKO」「裁判」

そういったネットの噂は、主に以下のようなストーリーで語られる。

(1)「被害者夫婦」は創価学会員であり、「主婦」が入信を断ったため嫌がらせが始まった
(2)布団叩きでのいやがらせも、実は先に「被害者夫婦」がし始めた。
(3)逮捕後、現在(~2019年)も「騒音おばさん」は平穏に暮らしているが、裁判を起こした「被害者夫婦は引っ越している」
(4)「騒音おばさんだ」は娘を亡くしていた。かわいそうなのは彼女の方だ

実際、騒音おばさんの「ご近所迷惑」の開始以前にすでに近隣住民とトラブルがあり、その時は騒音おばさんが民事裁判で勝訴している。

しかし、(1)の創価学会うんぬんついては、残念ながら1次ソースにたどり着くことが難しく、噂の範疇を出ない。

事実関係や経緯は、下記の流れとなる(弊サイトまとめ)

  1. 1988年に「騒音おばさん」が奈良に転入
  2. 「被害者夫婦」の「隣の住民」とけんかになり、裁判に発展、被害の大きかった「騒音おばさん」が勝訴
  3. ※ソースは週刊誌

  4. 「被害者夫婦」と他の被害者住民?が「騒音おばさん」を相手どり民事訴訟を起こす。
  5. 1999年に最高裁で60万円の慰謝料を認める被告側敗訴の判決が確定
  6. ※新聞各紙

  7. 「騒音おばさん」による騒音行為、嫌がらせは止まず、器物損壊で刑事告訴
  8. →動画のような行動

  9. 2005年4月に逮捕勾留され、2審大阪高裁判決で懲役1年8ヶ月が確定
  10. →ABC WEBNEWS 2006年10月26日

騒音行為を行うようになった経緯について、大阪高裁の被告人質問で加害者の主婦は「子供の泣き声がうるさいなど近所から苦情を言われ裁判を起こされたので、生活音を消すためするようになった。亡くなった娘の悪口を言いふらされたり、鍵穴を塞がれるなど虐めに遭っていた

– “騒音おばさん 実刑 「再犯可能性高い」 奈良地裁懲役1年 大音量、傷害と認定”. 産経新聞. (2006年4月21日)”

おそらく、こういった断片的な情報をもとに、憶測や願望などを巻き込み、尾ひれ背びれがついて噂がひとり歩きしてしまったのではないだろうか。

真相は闇の中である。(※)

二代目・騒音おばさん

「新・騒音おばさん」「マイラバ好き」「風鈴めいて涼しげ」

二代目騒音おばさん、またの名を「新・騒音おばさん」について。

初代に比べ、大きな社会現象に発展とまではいかなったが、こちらの事件も示唆に富んでいる。

事件は2017年、神奈川県小田原市を舞台に繰り広げられた。きっかけは風鈴だったという。

「ご近所トラブル」「マイリトルババア」「タマゴは実際危ない」

加害者といわれる小松容疑者(当時65歳)の住む一軒家の2階ベランダにぶら下げられていた風鈴の音がうるさいと、近隣住民がクレームをいれたところ、小松容疑者とその娘は、意趣返しのように風鈴の数を増やしたという。

以降、音楽(My Little Loverほか)を時構わず大音量で流したり、近隣住民の玄関前にサバみそや生タマゴなどをデプロイするなど、嫌がらせ行為を働いていた。

結局、迷惑行為を注意しようとした近隣住民の男性Aさん(47)への殺人未遂で、県警小田原署に逮捕されるに至った。

こう聞くと、凶悪で剣呑な事件のように見えるが、ドライブレコーダーに記録されていた「被害者」とされる「男性Aさんが車で殺害されそうになった」という実際の動画を見てみると、様々な見方ができる。


男性は、ヤカラのようにも見える?

小松容疑者は男性に接触した事実を認めつつ「殺意はなかった」と容疑を否認。

容疑も不起訴となり、事件は一応の収束をみた。

「アブナイ」「バカ」「さっさと就職」

ミセス・ノイズィの脚本兼監督の天野=サンがいうように、物事は、見る角度によって見える景色が違う。

一方の当事者だけの話や、マスコミの報道を鵜呑みにするの危険だ。

我々が騒音おばさんから得られる教訓は、3つある。

君子危うきに近寄らず

新旧の騒音おばさんのケースは、いずれも些細なご近所トラブルが発端となっている。

例えば風鈴の音がうるさくとも、相手の立場にたって考え、気持ちを尊重した態度や言い回しでクレームを伝えれば、もしかすると大きな反感を買うことはなかったかも知れない。

もちろん、そういった手順を踏んでも、通用しないような問題のある相手であれば、もう自分から距離を取るしか方法はない。

「君子危うきに近寄らず」である。

防音のマンションに住む

ただ、引っ越しなどで物理的に距離をとることが難しい場合ももちろんあるだろう。

ご近所トラブルで一番多いのが、実際騒音だ。防音のしっかりしたマンションや、一軒家に住むことができれば、根本的な解決につながることはないかも知れないが、大きなリスクヘッジになるだろう。

さっさと就職(もしくは転職)しよう

「騒音おばさん」で盛り上がった世代は、まさしく70年代末~80年代頭の就職氷河期世代だろう。

今や、仕事でも重要なポジションにつき、子育てや介護に忙殺されているかもしれない。

懐かしいインターネット・ミーミーで時間をつぶすのは程々にして、生産的な活動をするべきだ。

人手不足が叫ばれる昨今、よい求人は沢山ある筈なので、サラリマンでない方はさっさと就職活動しよう。


出典:tumblr.com

(※)当時はまだ存在しなかったが、youtubeのインフラにただ乗りしていたニコニコ動画というサービスもあった(ある)
(※)もしその真実を解明する者がいたとしたら、ニンジャとモータルの魂の差異すら、科学的に解明し模倣できるかもしれない。


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